2026-10-27 第331回参加歌
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自由詠
歌順1番
美しい日本語で
書かれた本
教えてください
と言われた
誰か 教えて
歌順2番
瀕死のスマホに
人の死を重ねる
私の脳ミソも
いつの間にやら
デジタル支配
歌順3番
添寝していて
自分が先に寝入ってしまった
若いママ
そっとしておこう
ネ、赤ちゃん
歌順4番
時が過ぎる
早さの恐怖と
戦いながら
最終章を
生きている
歌順5番
鍋物の
たいていの野菜は
喧嘩しない
のに
ね
歌順6番
自殺する命があれば
欲しい
それが最期のことば
浅間の麓で
翁は 呼吸を止めた
歌順7番 第5席
秋の昼間は
人の意識を
空っぽにする
さて
私は何をするんだっけ
歌順8番 第4席
「サクサクと稲を
刈る音遠くなり」
小四の時に詠んだ
日本の秋の風景が
いつも心に浮かぶ
歌順9番 第3席
窓ガラスに挑み続ける
カゲロウ
残り少ない
その命
使い方は君の自由だが
歌順10番 第2席
すこしずつ
上っていたはずが
すこしずつ
堕ちていた
蟻地獄のゆるい傾斜
歌順11番 第2席
気がつくと
傍らに来ていて
いつの間にかいなくなる
一年に七日ほどの
金木犀との逢瀬
歌順12番
今でも
天国でも
そう思ってくれてますか
五行歌好きって
詩ってくれてますか
歌順13番
山小屋の灯
みんなで
歌ったあの頃
いなくなっても
こころにともる
歌順14番 第4席
耳の奥で
鳴いている
蟋蟀 *蟋蟀=こおろぎ
ありがとう
ぼくは もう眠るよ
歌順15番 第5席
真っ青な空 が
送られてきた
元気かー と
元気よー と
私の影で 返信
歌順16番 第1席
誰か人を
気遣うこともなく
かといって
さみしくもなく
今日は私日和か
歌順17番
昨日も雨
今日も雨
明日も雨?
いつかの自分を
彷彿とさせて降り続ける
歌順18番
間違えているからと
正論の押し付けはいや
こだわらない
遊びをちょうだい
オンナってそういう性なの *性=さが
歌順19番 第2席
頭の中では
途切れない
言葉や思い
書こうとすると
かくれんぼ
歌順20番
田舎の家には
あったなー
ポツンと一個
いつ帰ってもいいようにと
灯
題詠
歌順1番 第4席
さまざまな
闇の中にも
ほっとする
灯のような人
いてくれた
歌順2番
江戸の廓の灯火に *灯火=ともしび
浮かれる田舎侍も
国へ帰れば
良き父で 良き夫
今夜位は見逃して
歌順3番 第3席
くらやみに対って *対=むか
足を踏み出すとき
私は 私を
灯す ほか *灯=とも
ない
歌順4番
安堵と不安
喜びと悲しみ
常夜灯のほのかな
灯りに包まれ
眠る
歌順5番
螺旋階段の
その暗がりの
ほんの
小さな
灯として
歌順6番
誰もが
誰かの
灯
となれる
世の中に
歌順7番
後ろから
近づく赤灯に
違反の覚えは無いが
なぜか
ドキドキする
歌順8番
少しでも
心に灯りが灯る
記事がないかと
新聞を丁寧に
読む
歌順9番
少しずつ灯りが増えて
少しずつ
私の空が狭くなる
誰かが誰かの空を侵略して
街になっていく
歌順10番
暗い廊下を
足音たてずに歩きまわり
灯りのついている
教室がないか
探していた
歌順11番
迷っている時
泥沼から伸びてくる手
救ってくれたのは
友情という
輝く灯
歌順12番 第5席
「ともしび」という
飲み屋があった
客より
酔っぱらってる
ママがいた
歌順13番 第5席
灯 くらいが
丁度いい
そっと
だれかの
役に立てたら
歌順14番 第1席
あのさぁ と
云えば
いいよ と
灯してくれた
あの人
歌順15番
君の心に
灯った
あかり
見逃さないよう
消さないように ね
歌順16番
カフェの窓辺の
赤い灯
止まぬ雨の中
行く人を
励ますように
歌順17番 第2席
得意気に
鬼灯鳴らして
笑う母
まるで子どもの
無邪気な笑顔
歌順18番
能登地方は
ロウソクの生産地
老いた手で
燭台に立てた一本
灯に復興を祈る
歌順19番 第3席
詠は *詠=うた
言葉で
灯す
あかり
消えはしない
歌順20番
灯って
何なの
と
聞かれて
目を閉じる

