2024-12-17 第309回参加歌

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自由詠

歌順1番

田中きみ

良いも悪いも
もうすぐ終る
終れば始まる
新しい風が
ふいてくる

歌順2番

はるか

洗濯機を買い換えた
多分次はない
残るのはどっちかな
くるくる回る洗濯物を
眺めてる

歌順3番

美樹

地球が湧かせた
温泉で
サルもヒトもカピバラも
みんなほっこり
同じ顔

歌順4番

山碧木 星

濁る
濁らないよ
澄んだ目で君はいう
水上勉         *水=みず
谷川俊太郎       *川=かわ

歌順5番

柳瀬丈子

ー内幸町の角の
 あの店で待っていなさいー
ふっと 父の声を聞いたような
あの頃、そこに在ったよなァ
日本放送協会

歌順6番

高原美智子

「ふてほど」?
今に若者の言葉
分からない時代が
来るだろう
外国語聞くように

歌順7番 第4席

水野ぷりん

私の隅っこに
居座る鬼さん
おうおうと
暴れ出したときは
花を食べさせます

歌順8番

酒井映子

悲しい時こそ
上を見よ と
冬の赤
ポインセチアに
背中押される

歌順9番

藍弥生

中央線
グリーン車
タダで乗った
小さなしあわせ
3月14日まで

歌順10番

可不可

ふと出会った
変則交差点
真横から眩い
冬の陽射し
帰りつけるかな

歌順11番

いわきやすお

中目
中黒・
中目黒
目黒銀座を
クロネコが走る

歌順12番

渡辺加代子

一生懸命歩いても
それじゃ進まないよ
顔を上げて
胸張って
大きく腕を振れ

歌順13番

今井幸男

舞台に最後に
登場するトリと同じようなもの
だからだろうか
最下位がなんとなく
心地よいのは

歌順14番 第3席

命は
いつかお終いが来ると
八歳で知ったのに
備えることは
まだ何もしてない

歌順15番

数かえる

ふと気付いたら
誘わない身体
愛らしく
垂れた乳房は
ぬける程 白い

歌順16番

ま のすけ

夏の暑さにも
冬の厳しい寒さにも
抗えない
ただ一粒の
老いた種

歌順17番 第5席

岡本まさ子

家路をいそぐ
人のように
夕暮れの

流れ速めて

歌順18番

吉野正則

軽やかな囀りは
楽しそう
土をまぶした様な頭と
黒くて丸い目の雀
可愛い

歌順19番

関口有美

里芋の皮
ぬるりんと
むければ
私も一皮
剥きたいものだ

歌順20番 第5席

コバライチ*キコ

翻り
ひかりを躱して
黄葉は
ひそりと
大地に還ってゆく

歌順21番 第1席

町田道子

悲しいことも
楽しいことも
時はおりあいをつけていく
今年
最後の満月の形の良いこと

歌順22番 第2席

かおる

70cmビニール傘は
透明のドーム
電灯の下
影も透明
巨大なくらげになる

歌順23番

範子

さあ これから
土のお布団にもぐって
腐葉土になるまで
「おやすみなさいです」と
落ち葉たちは眠りにつく

歌順24番

赤井 登

冬空に
むかって
シクラメン
マリーゴールド
競いあう

題詠

歌順1番

田中きみ

小さな飲み屋
小幸の女将は   *小幸=こゆき
着物に割烹着
笑顔可愛く肴は旨し
昭和の思い出

歌順2番 第3席

はるか

何が幸せって
地球にヒトとして
生まれ
五感で自然を
感じられる事

歌順3番

美樹

美味しいもの
好きな音楽
あったかいお風呂
幸せの素は
こんなにあるのに

歌順4番 第1席

山碧木 星

高さ
ではなく
広がり
なんじゃない
倖せって

歌順5番

柳瀬丈子

「しあわせにおなりよ」
肩に置かれた
  あなたの掌
父さん、幸せも
化学反応を起すんだね

歌順6番

高原美智子

お父さんの子に
生まれて良かった…
この一言
間際に
言えた幸せ

歌順7番

水野ぷりん

ありがとうと
言えたとき
涙のあたたかさを
感じられたとき
そこは幸子の国になる

歌順8番 第3席

酒井映子

何でもない日常に
幸せだなぁ
と 呟く瞬間が
ある
いい人生だ

歌順9番

藍弥生

不運なことと
不幸なことは
別のこと
幸せ
見つけちゃう

歌順10番

可不可

不幸は気の持ちよう
って、誰が言った!!
オレの場合は・・・
あっ
スマホバッテリ切れ

歌順11番

いわきやすお

ポッケに入れた
50円玉にぎり締めたら
500円硬貨になっていた
さっちゃんの
クリスマスの夢

歌順12番 第4席

渡辺加代子

日記を貯金箱にして
日々の中
キラッと光った
幸せを
つまんで貯めよう

歌順13番 第5席

今井幸男

幸か不幸か
自分が幸せか不幸か
なんて考えたことがない
ほんとに幸せだった
んだなあ私は

歌順14番

気がついたら
笑えないことも
フフフにすり替えて
もらえる人達
傍らにいる幸せ

歌順15番

数かえる

指名手配犯の
顔・顔・顔・顔
幸せもあったでしょ?
年の瀬に想う
ポリス前

歌順16番

ま のすけ

「幸」という文字
上下に
「土」が…
この先ずっと
ヒトが土を忘れないように かねぇ

歌順17番

岡本まさ子

ひとさじの
アイス
口中で
とける
幸せの師走

歌順18番

吉野正則

無事に過ごせた
今年の幸せ
想いを
巡らせ
蕎麦を啜る

歌順19番 第2席

関口有美

当り前と
思っていたことが
次々と
有難く思えてきて
幸せが増えるばかり

歌順20番 第5席

コバライチ*キコ

何事も
特段変わったこともない
そんな今が幸せなんだと
わかる時が来る
 母の口癖

歌順21番

町田道子

目の前に
ちいさな楽しみ
ぶらさげて
追っかけていく
それって しあわせ

歌順22番

かおる

背くらべでは
勝てないけれど
幸せだという
君の横で
幸せくらべは勝っている

歌順23番

範子

残り少ない人生
幸せを感じる心を
毎日持つ幸せを
大切にしたくて
嫌なことには目をつぶる

歌順24番

赤井 登

夕焼けこやけで
星が出て
明日は
きっと朝焼けが
ある しあわせ