2022-11-22 第284回参加歌

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自由詠

歌順1番

大橋克明

歌友との
付き合いは
お互いの心の
ふくらみの部分で
付き合いたい

歌順2番

渡邉加代子

ひとつひとつに
実験を繰り返す
出来ないことが
多いと
色々考えるものだ

歌順3番

いわきやすお

22日は
ショートケーキの日
上に乗ったイチゴは
小ぶりのおとめ
やさしく噛んでみた 

歌順4番

田中きみ

ありがとう
ありがとう
あのこのガンが消えた
ありがとう
インド・マジックか?

歌順5番

今井幸男

溝穴と丸穴
今宵はどちらを使おうか
錫箔の包みを         *錫箔=すずはく
そろり はだける
裁縫箱の前

歌順6番

範子

思い出に浸る今は
清涼な川に浮かぶ
小舟に乗って
ゆられてるような
心地好さ

歌順7番 第5席

平井敬人

お互い
わからないくらい
僕らは変わっていくのかな
どこかで
また会えるかな

歌順8番 第4席

酒井映子

愛し合い
援け合い
憎み合う
人の世は
「あい」に溢れている

歌順9番

萩原多恵子

心の平和には
少々の
見えないもので
不協和音が
通り過ぎる

歌順10番

柳瀬丈子

地磁気だって
反転するのだ
永久不変のものなど
宇宙には
無い      *チバニアンの磁場の反転

歌順11番

歩くように
落ち葉
転がっていき
秋も
そろそろ終わるか

歌順12番

赤井 登

どさ
ゆさ
慣れぬ方言
口ずさみ
朝湯で一杯

歌順13番 第2席

藍弥生

寂しかろうと
言われても
自由と
孤独は
ひとつでセット

歌順14番 第4席

紫野 恵

冬凪ぎの海の
騒めきはじめて
十二月 また
人を
好きになる

歌順15番

岡本まさ子

見下ろされるのがいやと
皇帝ダリアを
嫌う女         *女=ひと
どれだけ高かろうと
天まで届くものじゃなし

歌順16番

はるか

二度見した
お風呂場の全身鏡
そこには
二十年前介護した
母が立っていた

歌順17番

吉野正則

鴨川縁を
そぞろ歩きで先斗町
しもつきの肴は
鱧の焼き落とし
和酒の旨さと相まって

歌順18番 第5席

数かえる

私の名前の
一文字だけは
忘れないでね
記憶の泡が
一粒になるまで

歌順19番

大貫隆志

タイマーの数字
音もなく減る教室
無言
完食の
給食指導

歌順20番

関口有美

時代小説を
音読して
活舌の練習
カクカク シカジカ
戦国時代でござる

歌順21番 第3席

町田道子

久方ぶりに
紅をさせば
それだけで
心は
ふわっ と

歌順22番

ま のすけ

紫の
恵みのような
冬の朝焼け
帽子にマスクを着け
自転車の通らぬ道を散歩

歌順23番 第1席

山碧木 星

裸木は
もういちど着飾る
水のなかの
錦を
ひろって

歌順24番 第2席

コバライチ*キコ

三日月が立っている
そんな夜は
木々たちも
爪先立ちで
戦ぐよ

歌順25番

かおる

錦の紅葉と
錦の色打掛
にやっと笑う
花嫁の
口紅

題詠

歌順1番

大橋克明

今年も又
事無く
過ぎて行く
年の暮の
街のざわめき

歌順2番

渡邉加代子

無駄とも思える
安静の日々
明日のために
出来ることは
今何もしないこと

歌順3番 第3席

いわきやすお

髪が無い
センスが無い
後が無い
でも
悲観はし無い 

歌順4番 第1席

田中きみ

無かった事になど
しなくてもいい
かんちがいも
まちがいも
あってこその今

歌順5番

今井幸男

大切な部分を保護してる我々を
無駄毛なんて侮蔑語で
虐待しないで下さい
除去抹殺しないで下さい
自然体が一番と宣ってる貴女様  *宣=のたま

歌順6番 第4席

範子

あれもこれも 無い無いと
探し物ゲームの毎日
我家には
いたずら好きの
妖精たちがいるらしい

歌順7番

平井敬人

いっそ無であれと
息をひそめても
やがてざわめく

ここに有るのだから

歌順8番 第4席

酒井映子

行先も確かめず
飛び乗った列車
無謀だからこそ
展ける       *展=ひらける
人生もある

歌順9番

萩原多恵子

老人スタイルに   *スタイル=生活,容姿、諸々
変化して
無理する
ごまかしに
限度を感じる

歌順10番

柳瀬丈子

ピアノに覆い被さるように
かがみ込んで
グレン・グールドが紡ぎ出す
天衣無縫の
音のしずく

歌順11番

何も無いのが自慢と
笑顔の友
いつも
豊穣を
周囲に届け

歌順12番 第3席

赤井 登

ぬーと はいって
ぬーと でていく
朝の冬湯治
マスク無しでも
無口な山形 

歌順13番

藍弥生

無駄の
なかにも
宝物が
あるのが
人生

歌順14番

紫野 恵

もう一度
無から
始めよう
そうね、あの扉を
開いた瞬間からがいいわ

歌順15番

岡本まさ子

無実というに
はんこ
押されて
逝ったひと
無念だろうに

歌順16番 第2席

はるか

やりたくない事を
ムリ〜
と言う若者
こっちはマジで
無理がきかないのだ

歌順17番

吉野正則

命を終えた秋の葉が
肩を掠めて土に帰る
早朝の境内に
詣でる人の
影も無

歌順18番

数かえる

無花果を
指で裂き
露わな赤の *露わ=あらわ
生ハムで包む
美味は淫靡

歌順19番

大貫隆志

ケンタウロスの
矢は射ぬく
宇宙創世から
消滅までの
その無窮を

歌順20番 第5席

関口有美

落飾間近
後は
無の境地か と問えば
いいえ
春支度よ

歌順21番

町田道子

色も無い
音も無い
夢を見た
そんな世界を
さ迷っている

歌順22番

ま のすけ

無辺にして無窮         *無辺=むべ
「宇宙」が
UNIVERSEを指すのなら
決して閉じておらず
そこには始まりも終わりもない

歌順23番

山碧木 星

無慈悲なドローンが
無差別なミサイルが
飛んでくる
無防備な
ある日の朝に

歌順24番

コバライチ*キコ

愛情と
憎悪は
合わせ鏡
底無し沼の
深さにも似て

歌順25番 第4席

かおる

実の中で
隠れて咲く
無花果の花
がぶりとかぶりつけば
隠している言葉が咲く