2024-04-23 第301回参加歌

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自由詠

歌順1番

柳瀬丈子

“再た逢う日まで”    *再=ま
桜の許で         *許=もと
交したことばは
祈りに
近い

歌順2番

関口有美

花に負けじと
木々の芽吹き
季節の
お色直し
あざやか

歌順3番

藍弥生

男も
物も
捨てずに
手放す
幸せ空間

歌順4番

渡邉加代子

美しいには
理由があるが
可愛いの理由って
分かるような
分からないような

歌順5番

春もやの向こうに
見え隠れするもの
なぜか
全て
吉に見え

歌順6番

ま のすけ

人より先に繁栄した
齧歯類たちが
カリカリコリコリと
人の幸せを齧っている
今日の政治を見ながらそう思う   *今日=こんにち

歌順7番 第2席

大貫隆志

世界をすこし
柔らかくする
言葉だけを
選べるように
なりたい

歌順8番

上田裕子

今年の桜も
あっと言う間に
散ってしまった
だからやりたい事は
先延ばしにしない

歌順9番

吉野正則

うす桃色の雲を
繋げた様な桜並木
五弁の花が寄り添って
手毬のよう
ぎっしり枝に付いている

歌順10番

高原美智子

そんなに急がないで と
地球に祈る
私の命、縮めているのは
あなた達よ と
睨まれる

歌順11番 第4席

範子

陽が落ちて
公園から走って帰る
子らの背を
追いかける花吹雪
春がさよならを言いたくて

歌順12番

かおる

気持ちが
春に
追いつかない
曇天さえ
桜似合うのに

歌順13番

今井幸男

麹町のビルの谷間に冬枯れの廃屋
どんな精霊様がお棲みに
なっていらっしゃるんですかと
朽ちた垣根の外側に佇む
鉢植えの君子蘭に訊いてみた

歌順14番

水野ぷりん

新緑氏と
肩並べて深呼吸
そんな庭を
持っています
自慢です

歌順15番 第5席

美樹

たんぽぽになって
明るい黄色の花を咲かせ
真っ白な綿毛に変身したら
風に乗って
飛んでいきたい

歌順16番

はるか

安堵と寂しさ
カーテンの隙間から
今日も覗いてしまう
巣立って行って
空っぽの鳩ノ巣

歌順17番

観月

あなたに出会って
初めて知った
わたし
結構な
寂しがり

歌順18番

赤井 登

蜆のみそ汁
目分量で
味噌を
視力のわりには
うまくいく

歌順19番

田中きみ

ハッピー・エンド
から 始まった
あらたな物語
再びの 一人
歩き出す

歌順20番

酒井映子

自信満々と
傲慢
境界線の
1ミリ が
人格を分ける

歌順21番 第1席

岡本まさ子

しあわせに
しっぽが
あるって
しっていた?
かなしみ というのよ

歌順22番

コバライチ*キコ

山椒の葉  *山椒=サンショ
すりこぎで擂り潰す
ぴりりぴりり

真夜を震わせ  *真=ま

歌順23番 第3席

山碧木 星

閉じていても
眩しい
ゆれる木漏れ日
瞼の中にも
新緑

歌順24番

町田道子

こんなにも
待っていたのに
あっと いう間に
いってしまうのか
幕引き 鮮やか 桜

歌順25番 第5席

いわきやすお

ちからを抜くと
間が取れる
息をつけば無理がない
こころ穏やかに
今日を生きてみる

歌順26番

数かえる(欠)

歌も唄えます
酒も飲めます
恋も出来ます
だから
私は戦うのです。

題詠

歌順1番

柳瀬丈子

休戦も
停戦も
交渉再開の見通しは
全く立たない
ガザも、ウクライナも

歌順2番 第2席

関口有美

またね と
手を振り合ったが
再び は
無いな と
互いの目が

歌順3番 第3席

藍弥生

再起動なんて
気軽に
できない日も
たくさんある
私の人生

歌順4番 第1席

渡邉加代子

楽しみにしていた
惣菜屋がない
この駅裏も再開発
そして
どこも同じ街になる

歌順5番

この間までの
更に更にが
いつの間にか
既に既にの
皮をつけ

歌順6番

ま のすけ

ふたたび会うことの
叶わぬと知った上での「再見」
痛みではなく
深い冷ややかさが
身の内を木魂する

歌順7番

大貫隆志


鳴く
夜は再び
あなたの物語に
溶けていくのね

歌順8番

上田裕子

いつも一緒に
歩いた地元の商店街
一人で再び来ると
全てがセピア色で
違う街に見える

歌順9番

吉野正則

物と心が
響き合い
一つになる
そういう姿を
リユースしたい

歌順10番

高原美智子

花はまた咲くが
命に再びは
無い。
会えて良かった
また会おう

歌順11番

範子

再、再、再・・・
何十回使っただろう
再からリバウンド
そして 諦めと絶望
ダイエットの過酷

歌順12番

かおる

四十年ぶりの再会
少し歳いった
ジョンレノン似
バイクの乗り方を
教えてくれた瞳のまま

歌順13番

今井幸男

いくら偉大でも過去の遺産は
化石エネルギー
頼り過ぎては亡びる
今この時を見詰め
再生可能エネルギーを発掘せよ

歌順14番

水野ぷりん

夢 再びを
お気楽モードで
語り合う
そんなお年頃
六十代

歌順15番

美樹

再出発というけれど
過去と未来は
つながっている
人生は
一度きり!

歌順16番 第4席

はるか

廃校跡へと続く
メタセコイヤ並木
再び聞こえる事のない
生徒たちの歓声を
懐かしむように天を衝く

歌順17番

観月

どこで間違ったの?
パスワード
入れ直すから
この恋も
再試行させてよ

歌順18番

赤井 登

再見     *再見=サイチェン
と 別れた
北京の友人
どうしているのか
今の時

歌順19番

田中きみ

あの穏やかな声は
亡くなった先輩?
懐かしい声と再会
ふりむかずに
下車する

歌順20番

酒井映子

再びは 戻らない
今のこの時
せめて美しく
流そう
花いかだ載せて

歌順21番

岡本まさ子

花よ
ふたたび
咲いておくれ
人よ
また 会いたいのです

歌順22番

コバライチ*キコ

再び
生き直すなら
君を傷つける前
桜蕊ふる
あの日の午後から

歌順23番 第5席

山碧木 星

翔平が
打っても
一平は
打っちゃいかん
再生してね

歌順24番

町田道子

再びの
再会
君の中の
私を
取り戻したくて

歌順25番

いわきやすお

1年経ったら
引退が
カムバックになっていた
編み目のほつれ隠して
再びの舞台「潮来笠」

歌順26番

数かえる(欠)

目指せ医学部
二浪したって
再々で挑む
費やした歳月に
春は残酷