2023-03-28 第288回参加歌

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自由詠

歌順1番

コバライチ*キコ

桜満開? 野球世界一?
知らんがな
そうだよね
皆が同じ方向だけを向く
おそろしさ

歌順2番

渡邉加代子

最後だけじゃないんだね
出会いって
どんな別れをしても
残るお宝の
ひとつやふたつ

歌順3番

コロナが
ごつんと
地球を
いましめて
すっきりしない春

歌順4番

山碧木 星

渇きを
癒すかのように

水面へ
その襦袢 濡らして

歌順5番

観月

理由がなければ
恋もできない
だから
声がタイプ
とか言ってみる

歌順6番

田中きみ

侍ジャパン㈸
一仕事やりとげた    *一=ひと
気分だよ と
ご老体がおっしゃる
見てただけなのに

歌順7番

町田道子

嬉しいと
人は
ぴょんぴょん ぴょんぴょん
跳ねるんだー
喜びが天に届くようにか

歌順8番

上田裕子

マスク生活
面倒だけど
5歳若見え
不要になると
少し寂しい

歌順9番 第5席

はるか

朝は布団の中で
昼は年金の振込み見て
夜は晩酌しながら
あー、
あともうちょっとだけ

歌順10番

岡本まさ子

英語で言うと
Smil line      *Smil line=ほうれい
老眼鏡も
Reading glass
年寄り扱いしないね

歌順11番

マリ子

いつかは
くる
私は
思い通り
見送れるか

歌順12番

赤井 登


世界一

世界に
花 咲かせ候

歌順13番

かおる

雨の
冷たさは
試練を教えているのか
未来を長くしているのか
桜、満開

歌順14番

萩原多恵子

私の
80の壁
人生も
階段も
前向きで

歌順15番

ま のすけ

チグリス・ユーフラテス
文明の祖たる地を
ありもしない
大量破壊兵器を理由に
破壊を重ねたのは米英

歌順16番

数かえる

昨日の凍えも
今日は鼻先を
悪戯にくすぐる
弥生は無邪気に
春を連れてくる

歌順17番

大橋克明

岩をも砕く
日本海の荒波
冬の荒磯は
親子の情をも
容赦しない

歌順18番

柳瀬丈子

抱きしめる
頬ずりする
胸に顔を埋める
ぬいぐるみ 相手に
今宵乱調

歌順19番

吉野正則

夜中の雨のおかげで
朝の冷え込みは
無い
そろそろコートを
脱ぐ日も近い

歌順20番

はなちゃん

なんか
愛おしくてカワイイよね
おじさんが
小さいお散歩バッグもって
子犬サイズで歩くのって

歌順21番

いわきやすお

お弁当箱を
あけたら
ご飯が幅寄せされてい
スキ間もいいかな と
空腹が箸を取る

歌順22番

酒井映子

二十一世紀の侍に
熱狂する五万人
忖度も
捏造もない
東京ドームだ

歌順23番

範子

挨拶してくれた顔には
マスク 帽子 メガネ
「この人 誰?」と思い続けながら
笑って話す私は
マスク無しの顔まる出し

歌順24番

今井幸男

春風に撫でられ
からころ からころ
丘の上の風車が
むっくり むくむく
背伸びをしてる

歌順25番 第3席

高原美智子

雲雀の囀り
蛙の合唱
いいなぁと思ったものが
あっという間に消えてゆき
街の隣は街になった

歌順26番 第4席

藍弥生

春の夜は
危険と
わかっていても
長明寺の桜餅に
断れないでいる

歌順27番 第1席

大貫隆志

なりたかった
なにものにもならず
ただの自分になる
まあそれで
よしとするか

歌順28番 第2席

関口有美

闇が
灯りを
育て
灯りが
闇を照らす

題詠

歌順1番 第1席

コバライチ*キコ

花は
笑いかけがいい
力を溜めて
飛び出す前の
桜色

歌順2番

渡邉加代子

バス停の桜
二分 五分 八分と
見上げて
今朝は はらりと
花びらが舞う

歌順3番

待ってましたと
春を持ち来る
花々
ビイドロのように
きらめき

歌順4番

山碧木 星

小さな声で
讃美歌うたってる
石塀の
日向のわずかに
スミレの花

歌順5番

観月

春うららな僕らは
晴天には
花粉に泣き
曇天だと
ちょっとだけ憂欝

歌順6番

田中きみ

去年の花見
普通に歩いていたね
今年はつらそう
花より気になる
連れの足元

歌順7番 第5席

町田道子

おみやげ〜って
大きなランドセル背負って
小さな花一輪
手に
飛び込んでくる 春

歌順8番

上田裕子

また来年も
同じ花が
一緒に見れるかな
笑顔の裏に
そっと想う

歌順9番 第2席

はるか

いつか別れは
来るけれど
今は一緒に
ただただ
花吹雪の中にいたい

歌順10番

岡本まさ子

春を
笑おう
花は ゆさゆさ
枝ゆらし
川面に手をのばす

歌順11番

マリ子

えっ どこ
もう春?
いつも最初に
教えてくれる
沈丁花

歌順12番

赤井 登


先に咲き

後から
春 追っかける 

歌順13番 第5席

かおる

しゃしゃり出ず
受け入れたものを讃える
彼女は花瓶
どんな花でも
活かしてみせる

歌順14番

萩原多恵子

青空と
白い雲を沈めて
花筏
あのひととの
日々がよみがえる

歌順15番 第4席

ま のすけ

青空へ舞い散る桜
降る雨の重さに散る桜
どちらへ託つともなく    *託=かこ
それをただ
静かに眺めている

歌順16番

数かえる

知らぬ間に
人を傷付けて
今日があると
桜 散る花びらが
優しく叩く

歌順17番

大橋克明

岸壁の上から
波の向うの夫に
花と米とお酒を投げて
嫁と姑が祈る姿
将来への不安

歌順18番 第2席

柳瀬丈子

根に樹皮に
眠っている花彩を   *花彩=はないろ
ゆさぶり覚して
綾絹を
染める

歌順19番

吉野正則

排水溝に咲く
名も知らない花
小さくても
懸命に咲いていて
元気をもらった

歌順20番

はなちゃん


カラスが横切っても
雑草の花が咲いても
なんだってウキウキ
私はイカレポンチになる

歌順21番

いわきやすお

造花を
胸に付け
卒業式の児童たち
わが子を写メで撮りながら
ママの嬉し泣き

歌順22番 第3席

酒井映子

散る花を掌に受け
逝った人を
惜しむ
春の道は
重い

歌順23番

範子

幹は枯れても
枝を次々
生み出して
花を咲かせる
老木の見事な桜

歌順24番

今井幸男

秀作がギフト用の鉢植えなら
問題作は
闇市で売ってる球根かな
とんでもない
花が咲くかも知れない

歌順25番 第3席

高原美智子

実らなくても
いいんだよ。
白く小さく
清らに咲く
すももに今年も語りかける

歌順26番

藍弥生

大きな花束も
うれしいけれど
一輪挿しに
ホッとする日も
あったり

歌順27番

大貫隆志

曇り日は
花を
鮮やかに見せる
一日を生きのびる
あなたにも似て

歌順28番

関口有美

今年は
長い
花の余韻

ジャパン