2020-01-28 第250回参加歌

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自由詠

歌順1番

青空には
数本の飛行機雲
おおらかに
めでたさを
描き

歌順2番

大貫隆志

燭台の蝋
湯で流す
あの日
流れた
命のように

歌順3番

大橋克明

南麻布
北条坂を下る人に
厚手のコートの背を
初冬の強風が
衣 剥ぎ取る様に吹く

歌順4番

柳瀬丈子

手函ごと捨てた
小石や貝殻 なのに
磯の香にむせびながら
よく似た小石や貝殻を
拾っている

歌順5番

寒苦老

のんびり
ゆっくり
しましょ
夜道に
日は暮れない

歌順6番 第3席

数かえる

『こいつッッ』
豊満な肉感で
誘ってくる
冬の鮟鱇に
酒は 平伏す

歌順7番

山碧木 星

ふっくらしたいなあ
雀が
樹氷が
ダウンコートが
正しい冬を待っている

歌順8番

今井幸男

夜更けの温泉
夜光貝のように光ってるのは
ほ ほ ほ
黒髪を掴むバンスクリップ
だけではない

歌順9番 第1席

関口有美

人ごみに居て
ひとこいしい
人の輪の中で
なお
つのるこいしさ

歌順10番

赤井 登

半月を睨み
半身を隠した
犯人を考える
解けそうで解けない
推理小説

歌順11番

かおる

しどけない
冬の雲が
私の
惰性を
なでてゆく

歌順12番

水野ぷりん

良心と
エゴとで
育んだ土壌
咲かせてくれるか
小さく薄墨の花でよい

歌順13番

はなちゃん

夜汽車を降りて乗換えを待つ
二十二歳のわたしは
不安と期待に溢れていた
朝陽がまぶしかった
スーツケースの上に座っていた

歌順14番

コバライチ*キコ

そらさんぽ
山鳩色の橋わたり
春へ
空へ
未来へ 一歩

歌順15番

いわきやすお

ロウバイの
フライングを思わせる
匂いを取り込んで
大寒の立ち位置を
まどわしている 一月

歌順16番

町田道子

ガレージの
隅っこに
ぽつん と火鉢
所在なげに
どうしたものかと

歌順17番

青木栄子

私鉄沿線は
タイムマシン
遠い未来から
家族の軌跡を
かいまみる

歌順18番 第2席

萩原多恵子

冬の海に
波と
戯れるには
年を取りすぎた
私がいる

歌順19番

吉野正則

寒風が
顔をなでる
ついでに鼻毛を
くすぐられて
へックショ〜ン

歌順20番

渡邉加代子

寒気の朝の
満員電車は
いつもより
ギュウギュウなのに
ふわふわ ぬくぬく

歌順21番

観月

おみくじの
「凶」は
チャンスカード
対応策の
ヒント満載!

歌順22番

酒井映子

自分の生まれた日
死ぬ日の事を
誰も語れないのだ
人生は永遠に
完結しない

歌順23番

平澤 薫

コロナ 車種じゃないよ!
恐怖の新型ウィールス
人類を脅かす
じわじわ 感染拡大
敵は武漢にあり

歌順24番

田中きみ

ひとことならば
叶うという
一言地蔵に
一言願う
ゲンキデイキル

歌順25番

はるか

お疲れ〜
とりあえず
ビールで乾杯 !
今日の終わりが
始まった

歌順26番

藍弥生

おいしいディナーに
私の舌が
まだ
おどろいています
幸せなお礼状

歌順27番

鮫島

物語の終わりは
いつも
新しい物語の始まり
冬が春に
なるように

歌順28番 第3席

範子

この青空を切り取った
風呂敷に包んで
もって帰りたいような
ふきのとうが
顔を出してる

歌順29番

つねちゃん(欠)

空想思考の
眺め良い部屋

迷子になる
日常感

歌順30番

岡本まさ子

助詞が
手助けをする
ことばとことばを
つなげる
こころを繋ぐように

歌順31番

高原美智子

メジロや鶯の
足音は聞こえないけど
ほら 葉がゆれて
風のように
何かが通りすぎた

歌順32番

高原伸夫

汚職議員が
雁首揃えた
自民に維新
カジノ始める前に
カネ・垢まみれ

題詠 「冬」

歌順1番

凍てつきの
朝のまま
音もなく
暮れる
山の冬

歌順2番

大貫隆志

冬凪の一日を
怠惰に過ごす
それでもいい
生きることは
堕ちることだ

歌順3番

大橋克明

羆は今       *羆=ひぐま
冬眠中です
そぉーと
寄りそって
鼻の頭 ペロリなめてみたら

歌順4番

柳瀬丈子

ありったけの
光 集めて
ここに咲く
冬の菫の
紫の冴え

歌順5番

寒苦老

凍てつく
朝に
胸を打つ
冬の華
サザンカ

歌順6番

数かええる

南東の夜空を指差し
『冬のダイアモンドに誓う』
と 言ってくれた
清貧のプロポーズを
断ったのは正解だった

歌順7番

山碧木 星

これでは
言葉まで融けていく
冬支度 冬眠 冬日 冬めく……
そしていつしか
暖冬 も

歌順8番

今井幸男

なぜか黒脚アゲハが増える冬
わたしも
ちょっと透け感のある60デニールの
黒タイツを穿いて
元気に街を飛び回ります

歌順9番

関口有美

冬が哭く
はらはら
はらはら
真っ白い
なみだ積もらせる

歌順10番

赤井 登

炬燵に
山盛り蜜柑と
おでん鍋
それに 熱
冬はこれです

歌順11番 第2席

かおる

熱い男に
惹かれる
冬生まれの女
溶かしてほしい
氷がある

歌順12番

水野ぷりん

あの窟で
冬眠しているのは
ワタシの勇気デス
春を連れてくるのは
アナタの勇気デス

歌順13番

はなちゃん

寒いのはヤダね
寒くないと暖冬だとサワグ
センター試験の日はやっぱり雪だ
コタツに入って
アレコレ言う

歌順14番 第1席

コバライチ*キコ

ふわふわの
冬芽の
ふくらみ
小さな春が
畳まれている

歌順15番

いわきやすお

明日が       *明日=あした
見えて
来るように
夜道を照らして
冬灯り

歌順16番

町田道子

おこたを囲んで
みかんを食べた
火鉢にあたって
お餅を焼いた
家族をひとつにしてくれた冬

歌順17番

青木栄子

もう少しだけ
一緒にいたい
冬の日の君の声
赤い山茶花みると
リフレインする

歌順18番

萩原多恵子

冬の野原の
恋人たちは
ほのかな
甘味が
ただよっている

歌順19番

吉野正則

冬が来るたび
そろり
そろ~りと
あの世が近づいてくる
そんな思いがする

歌順20番

渡邉加代子

冬の夕やけは
こんなに
やさしい色なのかと
ひとり静かな
お正月

歌順21番

観月

真冬にいただく
蕗の薹の
天ぷら
お口いっぱい
ほろ苦い春の兆し

歌順22番 第3席

酒井映子

どうだった?
頑張ったんだよ
うつむく
少年に
冬の雨

歌順23番

平澤 薫

富士の嶺
銀糸に輝く 神秘の霊水
真冬の 『白糸の滝』
降注ぐマイナスイオンに
心洗われ 生き返る

歌順24番

田中きみ

冬桜咲く
旧正月
七福神巡りする
我等七人
七福神

歌順25番

はるか

いつの間にか
富士山が
帽子から
セーターに
冬が来た

歌順26番

藍弥生

冬の花火が
好きなんだ
そんな
たわいのない言葉が
心に遺ってる

歌順27番

鮫島

寒かったら
走れ
そして飛びこめ
冬至の柚子湯
ドボン

歌順28番

範子

ゆず湯の後
かぼちゃの煮物で一杯
今日は冬至
さあ 春に向かって
ゴー ゴー ゴー

歌順29番

つねちゃん(欠)

泣き出しそうな
雲が広がる
冬空
待って待ってと
取りこむ洗濯物

歌順30番

岡本まさ子

過ぎた時は
もどらないのに
めぐる季節の
錯覚
はる 待つ ふゆ

歌順31番

高原美智子

昔はハドソン河も
凍りついた
真冬のニューヨークに
桜満開のニュース
トランプは何も感じないだろうが

歌順32番

高原伸夫

かじかんだ手を
はぁーっと息で温めて
遊んでいた
新宿の焼け跡
サクサク 霜柱が立っていた