2026-01-27 第322回参加歌

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自由詠

歌順1番

赤井 登

新年の
歌会初め
読師
朗々と
五行を謳う

歌順2番

岡本まさ子

芽が
でると
抜かれる
詩の畑には
管理人がいるようです

歌順3番

渡辺加代子

鍋の蓋を開けると
三倍に膨れたはんぺんが
外気に晒され
みるみる萎んだ
内弁慶なやつ

歌順4番

藍弥生

今まで
これからも
温度差は
変わらない
君と僕

歌順5番

柳瀬丈子

余白に宿る
意味
画家の真意
そこに籠められている
托された吐息として (日曜美術館を見て)

歌順6番 第3席

吉野正則

帯は固めに
きりりと締めて
ポンッと叩いて
気合を入れる
昭和女子の初出勤

歌順7番 第3席

水野ぷりん

病であっても
戦うの 嫌い
辛いの 嫌い
私でありたい
生ける処まで

歌順8番

関口有美

花と
花器
ふさわしきを得て
会心の
はな笑み

歌順9番

ま のすけ

綿の花
真白に
ましろく
一月の
陽射しのしづか

歌順10番

酒井映子

冬の川面を滑空する
かもめよ
わかるか
生きることの
重さが

歌順11番

萩原多恵子

このままでは
腑に落ちぬこと
多すぎて
ドクターショッピングと
わかりつつ

歌順12番

可不可

徳利の中の
名もなき二級酒
つまみに鮭トバ
呑みながら聞いたね
ビートルズの時代

歌順13番

コバライチ*キコ

今にも
歌い出しそうな
まだまだ
眠っていたそうな
百面相な冬芽たち

歌順14番

はるか

大空に放たれたり
地べたにしゃがみこんだり
死ぬまで降りられない
人生はシーソー
楽しむっきゃない

歌順15番

斎藤範直

煮干は泳がない
白い目をして動かない
いつかきらきら光る目で
颯爽と泳ぐ
きみが見たい

歌順16番

数かえる

汚れた車を洗う
切れない包丁を研ぐ
花瓶に花を飾る
去年の見て見ぬふり
可哀想にしてゴメンね

歌順17番 第1席

範子

まだ生きてるよ~ と
送り
まだ生きてるのね と
確認する
賀状は細い糸の役目

歌順18番

いわきやすお

雪のなかに
小さな春が
埋もれている
白く耐える
季節の実直

歌順19番

年明けの
夜更けて
良き正月と
愛でてた者達
みな寝てしまい

歌順20番 第4席

上田裕子

少しずつ日が長くなり
ビルの隙間から
柔らかい夕陽が
家への帰り道と
私の心を灯してくれる

歌順21番 第2席

町田 道子

初めての とか
最後の とか
人は
理由をつけて
生きている

歌順22番

田中きみ

今日
ここ
今を
切に
生きる

歌順23番 第5席

山碧木 星

底に
沈んでる
哀しみを
知らせているのか
鉄瓶の湯気

歌順24番

マリ子

昨日に続く
今日だけど
年神様がやってくる
まずは目出度い
お正月

題詠

歌順1番

赤井 登

今の今

瞬間に
今は
過去

歌順2番

岡本まさ子

「今」を
かっこで
包んだら      *包=くる
ちょいと
長いかも

歌順3番

渡辺加代子

長い付き合いだから
お互いに
昔の怒りのひとつやふたつ
口にしないのは
今を大事にしたいから

歌順4番 第5席

藍弥生

今さら
自分探しなんて
やめたらって
言えずに
見守っている

歌順5番

柳瀬丈子

芸道も
悪道も
精根据えて
踏み出すものよ
今更後戻りはできないぜ

歌順6番 第4席

吉野正則


やる
すぐ
やる
ちゃんとヤル

歌順7番

水野ぷりん

アナタは 今を
無くしたけど
アナタの 今は
水となって
春を 迎えている

歌順8番 第3席

関口有美

罪も
善も
葬られて
石の顔して
今も有る

歌順9番

ま のすけ

「今様」は
いまようと読みますが
麹町界隈では
今様はいまでも      *今様=いまさま
今井さんなの、ごめんね

歌順10番

酒井映子

今日から成人
急に成人と言われても   *成人=おとな
昨日と変わらぬ
親と子だ
小遣いだってもらってる

歌順11番

萩原多恵子

書き初めの
筆下ろす
場所きめかねて
今いちの
〝健康〟ばかり

歌順12番

可不可

"今様"は平安時代
モダンジャズって一九四〇年代
アール・ヌボーなんて一〇〇年前
新しいのは一瞬
なあ 古女房よ

歌順13番 第2席

コバライチ*キコ

今だから言える
今さら言えない
大人になったら
大差ない。
秘密ってそんなもの

歌順14番

はるか

過去はどうでもいい
明日生きている保障はない
だから
今日を味わい尽くす
自分の為に生きる

歌順15番

斎藤範直

今日の歌会
0点だった
けどその分
お菓子をたくさんもらった
来てよかった

歌順16番 第5席

数かえる

今から始まる未来も
踏み誤った過去も
時間軸の中心は
いつだって
私一人

歌順17番 第1席

範子

どんどん
戦後が遠のき

スタスタと
戦前がやってくる

歌順18番

いわきやすお

今日
双子のパンダが
日本から旅立った
愛くるしいたれ目に
涙をためて

歌順19番

昨日を持つから
今があり
その幸せをつないだ
源の祖先は
誰にもらったのだろか

歌順20番

上田裕子

もう目の前には
いない人
頭から離れなくて
忘れる練習を
今夜もしている

歌順21番

町田道子

今だ
今でしょ
いまだろう
今 は
自分で決めるもの

歌順22番

田中きみ

同級生の
訃報で気付く
今の自分
生きるが面白くて
死ぬ気がしない

歌順23番 第3席

山碧木 星

忘れるために
呑んでた

いま 想い出にして
連れてくる

歌順24番

マリ子

杵が
よ~いしょ!
今返す!、と
臼が
合いの手