2020-07-28 第256回参加歌

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自由詠

歌順1番

コバライチ*キコ

「5四金」
君は
未来の手を生んだ
そうだ
いつでも世界は変わる

歌順2番 第5席

山碧木 星

一面の田んぼは
荒海のよう
見えぬ魔物たちが
緑を漕いで
こちらに向ってくる

歌順3番

吉野正則

びちびちビチビチ
びちびちと
椋鳥たちの井戸端会議
おまけは白い
糞の山

歌順4番

高原美智子

白詰草の花咲く
原っぱに
座っている人
ちょっとおばあちゃんだけど
何だか楽しそう

歌順5番

浅沼 融

たいがいにして
もういらないよ
長梅雨の
じめじめ
ポイッ

歌順6番 第1席

町田道子

行き先を
模索している
朝顔の蔓
隣の
傘を狙っているようだ

歌順7番 第3席

かおる

蚊帳に
分けられた
空間
あなたとの
結界に似て

歌順8番

藍弥生

画用紙と
色鉛筆が
あれば
あとは絵心を
待つだけ

歌順9番

観月

キミが
「好き」って
言ってたから
この梅雨空も
悪くない、かな。

歌順10番

数かえる

どこへ行っても
かれい・カレイ・KAREI・加齢
インド料理じゃあるまいし
自分が一番解ってる
ねぇ ドクター

歌順11番

大橋克明

貶されようが     *貶=けな
無視されようが
一向にへこたれません
あなたの無知を
ただ笑っているだけ

歌順12番

浜畑裕子

おおらかな雲
平らかな海に
水平線
丸い地球
安住の地

歌順13番 第4席

大貫隆志

身に
ひとつの
尖りなく
ゆら揺らぐ
海月

歌順14番

渡邉加代子

源泉かけ流し
まろやかな湯
女性に不人気なこの宿の
女湯は いつも
ひとりじめ

歌順15番

平澤 薫

朝霧の湖畔
何処までも続く暗徑
素足で駆け抜け
他界に迷い込む
呼称で覚める 夢世界

歌順16番

柳瀬丈子

銀座マロニエ通り裏の
ガレージに燕の巣!
黄色い口を開けて
餌を待つヒナ達は
都会の宝石

歌順17番 第2席

岡本まさ子

もう
喰った と
言ふように
生きた と
言ふて死ぬ

歌順18番

高原伸夫

「責任を痛感する」
何回言っても
「痛み」は感じない
総理は
口先 チョロマカ師

歌順19番

つねちゃん

ハサミが
とどきそうで
とどかない
足のつめ切り
妙に疲れる

歌順20番

可不可

季節の終わった
つばめの巣
なのに戻ってきた一羽
きっと何か
わけがあるんだね

歌順21番

清也

都と合わない
都合の
悪いこと
コメントしない
菅々しい答弁

歌順22番

酒井映子

コロナ禍で
右往左往の国民
夏季手当をたっぷりもらって
休んでいる
国会議員という人たち

歌順23番 第3席

ま のすけ

矢のような雨が
窓を打ち
屋根を打ち
遠くの川面を打ち
私の内側のどこかを打つ

歌順24番

青木栄子

雨上がる
アスファルトに
夏匂い立つ
マスク剥ぎとり
にやけてみる

歌順25番

寒苦老

心の
ビタミン
不足気味
笑って
元気に

歌順26番

今井幸男

たらん ぷるん ぶるん
タランポリンで
気持ちよさげに遊んでいます
ふァッ ふァ〜
わたくしの腹の肉

歌順27番

田中きみ

目が笑っている
マスクの下で
あっかんべーと
舌を出したり
していたり

歌順28番

赤井 登




何事もなく
巣作り

歌順29番

鮫島

ボスゴリラとの戦いに敗れた
イケメンゴリラ
ずっと一人暮らし
ある日 年増の雌が
誘惑しにやってきた

歌順30番

発車ベルに合わせ
滑るように
階段を下り行く
若者等
the 青春

歌順31番

関口有美

長梅雨で 気になる
稲の出穂を     *出穂=しゅっすい
見つけた朝は
白米ご飯を
噛みしめた

歌順32番

史緒

梅雨明けを
待たずに逝った人の
面影をなぞる
窓の外は
今日も雨

歌順33番

はるか

雨が上がったら
お気に入りの服を着て
好きな人と歩こう
雨が全てを浄化した
生まれ変わった街を

題詠 「紙」

歌順1番

コバライチ*キコ

紙風船
ペシャ
と潰したら吹っ切れた
しがみついてた
微かなしがらみ

歌順2番 第2席

山碧木 星

二十年を経た今も
手紙は励ましてくれる
頑張んなさい
おまえは
大器晩成だから

歌順3番

吉野正則

辛い事や
イヤなことは
みんな紙に書き出して
歌いまくって
忘れよう

歌順4番

高原美智子

その時々の
思いで選んだ包装紙
開けるのがもったいなくて
しばし眺める
従姉の贈り物

歌順5番

浅沼 融

七夕まつり
色紙の短冊に
そっと
書いた
ヒミツのお願い

歌順6番

町田道子

ふーっと
息吹き込めば
飛びだちそう
折り紙の 鶴
遠い母との想い出

歌順7番

かおる

ペラペラな私も
紙縒にすれば
強くなる

引っ張ってごらん

歌順8番

藍弥生

ラブレターが
紙切れに
変わる
あんなに大切に
してたのに

歌順9番

観月

昨夜の
あなたとのこと
思い出してたら
コピー用紙で
指先、切っちゃったわ

歌順10番 第3席

数かえる

真っ白な
半紙を侵すように
薄墨の一滴が
ジラジラと
世界を蝕んでいく

歌順11番

大橋克明

ジャイアンツの
優賞にわきたつ
銀座パレード
デパートの三階席にまで舞う
紙吹雪

歌順12番

浜畑裕子

KAMIも
GODも
自動翻訳機にかかれば
みな

歌順13番 第5席

大貫隆志

命の
行方は
紙一重の
誤差の
重なりか

歌順14番 第5席

渡邉加代子

外出自粛の家に
リンドウの花束
新聞紙にくるまれて
畑直送 鮮度抜群の
友の温もり

歌順15番

平澤 薫

美濃の山里
清き水で生まれる
楮の命         *楮=こうぞ
紙漉き技に魅了
美濃和紙の透明感

歌順16番

柳瀬丈子

紙ヒコーキ飛ばそ
夢を載せて
コロナの暗雲を展いて
あなたの許へ
届け

歌順17番

岡本まさ子

うすっぺら
うらおもてあり
黒塗べったり
なんとも 不自由な
内部文書と申します

歌順18番

高原伸夫

人情紙風船
って映画 知ってるかい?
戦前のだけど
今の日本もみんな
自分の事ばかり

歌順19番

つねちゃん

シワシワの手紙
水に溶けた
さようならが
微かに残る
洗剤の匂いと共に

歌順20番

可不可

「はい、次のひと」
渡された白い紙コップ
今年の数値を妄想して
心の中がもやもや
しみじみ齢を想う

歌順21番

清也

ネットに加え
ファックス郵送
何でもOK
紙上歌会より
至上歌会

歌順22番

酒井映子

三歳の児を
放置して死なせた女は
もちろん悪い が
その児の父親は
紙一枚で無関係なのか

歌順23番

ま のすけ

膏薬 ガーゼ 油紙
湯でぬらしたボール紙
伸びない包帯 三角巾
老医師のつくる
簡易ギプス

歌順24番

青木栄子

紙一枚で別れていても
死が二人をわかつまで
誓った言葉が突き刺さる
ほんとにさよならって
若すぎるよ

歌順25番 第4席

寒苦老

どんなに
短い手紙でも
あなたの文字
そして気持ちが
嬉しい

歌順26番

今井幸男

激流に流されながら
なにやらしてる
紙の舟の底で
赤い蟻と
黒い蟻

歌順27番

田中きみ

会いに行けない
恩人に
おかげさまで

手紙を書く

歌順28番

赤井 登




いずれも
いずこに

歌順29番

鮫島

八月の空に
高く 高く
紙ヒコーキを飛ばす
・・・帰ってこない
あれから 三十年

歌順30番

色 各々でも
人生という紙一枚は
自分で
好きに
折りたい

歌順31番

関口有美

電子派 ではない
紙派
座右の辞書と
ノートが
相棒

歌順32番

史緒

キャンディーの包み紙
集めてた
子どもの頃
なんでもないものが
たからもの だった

歌順33番 第1席

はるか

和紙に込める墨
滲みも
掠れも
余白も
私の心