2021-01-26 第262回参加歌

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自由詠

歌順1番

山碧木 星

君の見ている
空に
君の背を見つめる
僕の
笑顔はあるか

歌順2番

渡邉加代子

電車の座席で
スマホに夢中な人の
足の様子は
ああなっていたり
こうなっていたり

歌順3番

いわきやすお

雪平鍋で
茹であずきを
あたためて
お餅はふたつ
在宅勤務の朝

歌順4番 第3席

観月

そこは
左の鎖骨の
裏あたり
恋の予感が
芽吹く場所

歌順5番

大貫隆志

稜線の
夕日に
あの人の
命の色に
似て

歌順6番

つねちゃん

見上げる
冬木立ち
冷気がキラリ
背中を一刀し
青空に浮上させる

歌順7番 第5席

はるか

パラパラリン
賽銭箱に
アルミニウムの軽い音
心苦しくて
願い事一つ減らす

歌順8番

鮫島

健康
少しのお金
愛する人たち
うた
これで 完璧だ

歌順9番

冴えわたる
青空に
負けず
子等の声
突き抜ける

歌順10番

コバライチ*キコ

アルバムを繰り
あの日
あの場所にいた
君を思うだけの
贅沢

歌順11番

清也

デフレ脱却
しないけれど
躊躇なく
全力で万全と
言葉はインフレ

歌順12番

赤井 登

コロナ禍でも
大掃除を
見逃してくれない
鬼滅の鬼嫁が
それ拭けやれ拭け

歌順13番 第2席

かおる

馬が合うひとは
何気ない言葉の
センスがいい
前向きに
伴走してくれる

歌順14番

ま のすけ

福島の牧草で育った
牛馬の肺や鼻の粘膜などに
一定数以上の異常が…
コロナ禍で霞んだか
フクイチ処理の現実

歌順15番 第1席

酒井映子

ネットでしか
つながれない社会
声を失った
心が
尖っていく

歌順16番

藍弥生

始発に乗って
学校に行こうね
遠い日の約束は
呆けたら
忘れちゃうね

歌順17番

今井幸男

小さな石に躓き
気がついた
目先の損得に惑わされて
ほんとに大事なものを
奪われていた

歌順18番

関口有美

巣籠りながら
思い出してる
子供の頃
一人部屋に
あこがれたな〜

歌順19番

町田道子

画面でなくて
胸を診て
触診して
聴診器あてて
ああ 病も癒える

歌順20番

高原伸夫

コロナ散歩が
気づかせてくれた
近隣の豊かさ
林抜ければ
海が開ける

歌順21番

田中きみ

歌会 恋しい
二次会 恋しい
女子会 恋しい
あのころの
密が 恋しい

歌順22番

吉野正則

あんた
いつまで生きんのよ
そんなの決まってらい
死ぬまで
生きてやらぁ

歌順23番

寒苦老

落としものの
おおいこと
おおいこと
記憶を落さなければ
それでいい

歌順24番 第4席

青木栄子

怖いとき
淋しいとき
生きたいとき
がんばらないで
SOSと言えばいい

歌順25番

はなちゃん

朝、お天道様を見ると
思うんだよね よかったって
それで考えちゃう これって
不幸の中のちょっとした幸せ?
幸せの中のちょっとした不幸?

歌順26番

高原美智子

ドキドキ ハラハラすること
あればあるほど
心に残る
旅って
やっぱり楽しい

歌順27番

柳瀬丈子

受胎ー
いのちの始まりは
拒みながら
受け容れる
羊膜の熱いうねり

歌順28番

大橋克明

「足を洗って
 出直してきな」
「エッ 姉さん あっしに     *姉=あね
  堅気になれという事ですか」  *堅気=かたぎ
「違うよ お前さん足が臭いんだよ」

歌順29番

数かえる

残して行った
青の歯ブラシで
靴底の汚れを扱く       *扱=しご
あいつを やっとこ
踏みにじる

歌順30番

浜畑裕子

雛のように          *雛=ひいな
すましたお顔
マスクをとれば
なまなましき
生き物の貌へ        *貌=かお

歌順31番

岡本まさ子

無人のプールで
行き場のない
人魚の尾びれが
パチャと音立てた
あれは 夢だったか

歌順32番

範子

寒風に
身をさらしている
裸婦
せめて マフラーを
と そっと巻く

歌順33番

萩原多恵子

気が付けば
無会話の一日
コロナ禍の
朝の音読
習慣に

題詠 「始める、始」

歌順1番

山碧木 星

着けたり
離れたり
新しい生活とやら
始めたが
どこへ 向かう

歌順2番 第3席

渡邉加代子

たいていのことは
あ やってしまった
から考え始める
それは分析のような
言い訳のような

歌順3番

いわきやすお

夜あけの鐘を
聞きながら
ひび割れ湯呑で
朝のいっぷく
今日が始まる

歌順4番 第5席

観月

落ちにくい
口紅で
化粧を仕上げ
戦闘開始の
鐘 鳴らす

歌順5番

大貫隆志

平行世界の
もう片方に
足を踏み入れたとき
あたりまえを疑う
思索が始まる

歌順6番

つねちゃん

始まりがあれば
終りもある
そう願いたい
コロナ禍の
日常苦

歌順7番

はるか

始まれば
いつかは終わる
旅も 恋も 人生も
だからこそ どんな日々も
大切で 愛おしい

歌順8番

鮫島

大人の
退行現象
始まる
穴に引きこもり
過去に浸る

歌順9番

そそけ立つ
冬樹を縫い
新芽は
ひっそりと
始まりを見せ

歌順10番 第5席

コバライチ*キコ

転んでも
起きて
笑って
生きる、を
始める

歌順11番

清也

入院拒否で
過料を
科し始めるなら
入院待機は
国に過料を

歌順12番

赤井 登

始まりには
必ず
終わりがあると
信じていたが
今 それが揺らいでる

歌順13番 第5席

かおる

始まりの
ゴングは
聞こえない
始まってから
自分で鳴らす

歌順14番

ま のすけ

まだ子供の頃
35億人突破で始まった
世界推計人口の記憶
そろそろ80億人の壁が
見えてきた

歌順15番

酒井映子

ご挨拶だけ と
玄関先で帰る
年始の客
長居するのは
ウイルスだけか

歌順16番

藍弥生

わくわくして
始めて万年筆
使ったのに
書きにくかった
中学一年生の私

歌順17番

今井幸男

始めの一歩は助走
のようなもの
かしこまって緊張する必要はない
ダメだったら
やり直せばいい

歌順18番

関口有美

生から
死へ
覚えず スタートして
泣いたり
笑ったり

歌順19番 第2席

町田道子

事の始まりって
こんなもの
いつの間にか 軽い気持ちが
後を引けないものに
変ってたりする

歌順20番

高原伸夫

ドボンと沈む
スガ内閣の
支持率
自公連立政権
終わりの始まり

歌順21番

田中きみ

正月とは
生まれ変われる
まつり とか
今月から新人生
始めました

歌順22番

吉野正則

明日が見える
今日の終わりに
会いたくても会えない
こうして始まる
一人の悲しみ

歌順23番 第4席

寒苦老

いつ始まり
いつ終わる
わからないまま
生きてゆく
それでいい

歌順24番

青木栄子

コロナ禍コロナ禍
数字がどうした
人生は秒読み始めてる
今を止めるな
本能を揺さぶろう

歌順25番

はなちゃん

ものごとって
パンパカパーンなんてなくて
いつのまにか始まってる
それで
いつのまにかフェードアウト

歌順26番

高原美智子

始まりは
ちょっとしたこと
葦ペン画
まだまだ
葦のそよぎは聞えない

歌順27番

柳瀬丈子

「終り」の「始まり」
軋みながら
崩れ始めた世界
揺れ止まぬ羅針盤に
眼を凝らす       *眼=まなこ

歌順28番

大橋克明

年の初めの
銭湯の一番風呂
やったぞと
思ってのぞくと
居る、居る朝から暇な老人ばかり

歌順29番 第1席

数かえる

始まりは雨音
透明な ため息が
微かに聞こえた
傘のない 僕と
傘のない 君と

歌順30番

浜畑裕子

始まりは
ダラケ島への不時着
ふあっふあっ ふあ〜
静かに落ちゆく
眠りのはざまへ

歌順31番

岡本まさ子

始めたように
おわりにすればよい
傷ついたもの
傷つけられたもの
同じイタミになるように

歌順32番

範子

孫とトランプ
はじめはニコニコ
段々無口になり
負け始めると大泣き
バーバは負けてあげない

歌順33番

萩原多恵子

始めての
おつかい
紙袋の
しわしわ
慧ちゃんの気持ち