2024-06-25 第303回参加歌

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自由詠

歌順1番

かおる

張りつめなければ
鳴らない音もある
壊れそうな
あなたの
琴線に潜る

歌順2番

上田裕子

病院のラウンジでも
太った痩せたと
女性達の会話
だから女は
強いのかも知れない

歌順3番

渡邉加代子

水面に
絵を描くようなものだ
少しの風で
崩れてしまう前髪を
丁寧に直している

歌順4番

水野ぷりん

裾広がりの
緑のワンピース
くるくるふわり
きゅうり色の風が
恋をしたがっている

歌順5番 第5席

範子

眼としっぽだけで
自分の気持ちを
伝えられる
犬や猫たち
人の心も読んでいる

歌順6番

いわきやすお

LGBTQは
虹色に染まった
時代のことば
生き苦しさを捨て
自分らしく生きていく

歌順7番 第3席

美樹

父の日に
何をあげたかは
忘れたけれど
忘れられない忘れたくない
あの笑顔

歌順8番

はるか

体に触れることも
とうに無くなった二人
サロンパス貼る時だけ
ここ?
いや、もうちょっと左

歌順9番

関口有美

雨季
憂き
くり返して
晴れに
浮き浮き

歌順10番

今井幸男

箒に跨がり夜空へ飛び立った
魔女の自慢は胸に下げた
手作りの塵取り
星を集めに参ります
希望という名の星々を

歌順11番

柳瀬丈子

人体に
張りめぐらされた
経路の神秘        *経路=けいらく
打たれた鍼を抱いたまま
眠りに陥ちる

歌順12番

萩原多恵子

160k走ったSA
スタバの
カップ越しの
北アルプスは
うす紫色

歌順13番 第1席

赤井 登

紫陽花の

くずれて
夏が
くる

歌順14番

浜畑祐子

白鷺は
立像の如
佇ずんで
水面に何を
思うやら

歌順15番

可不可

しょげる若者
梅雨空みたいな顔
元気をだせ!
ふと 既視感
これ 昔の自分だ

歌順16番

マリ子

今日こそは
何もしない日と
決めたのに
そういえば、と
豆を炊いている

歌順17番

藍弥生

頑張る日と
同じだけ
がんばらない日
つくるのが
人生の秘訣

歌順18番

コバライチ*キコ

四葩を映して      * 四葩=よひら
潦           * 潦=にわたずみ
昨日の雨など
知ったことかと
すん として

歌順19番

数かえる

路を跳ねる雨粒は
スタッカート
傘から弾ける少女の声は
フォルテシモ
泣いてなんかいられない

歌順20番

田中きみ

高校の同級生集う
10代の時よりも
70代の今が良い
それぞれが味のある
なかなかの老けっぷり   *老=ふ

歌順21番

吉野正則

俯いて
歩いていると
不意にポツリ
冷たい雫が
首筋にあたる

歌順22番 第2席

酒井映子

ベランダの花に
蝶が来た
小さな花一輪が
小さな命を
支えている

歌順23番

大貫隆志

記憶をつなぐ
語り継ぐ
忘れてはいけない
沖縄戦の
ガマの記憶を

歌順24番

良きものにしたいので
評を願います
と云う
若者の眼のきらめき
爽やかな初夏を宿す

歌順25番

町田道子

朝採りのきゅうり
一本
たっぷりの雨を
頂いて
一気に成長

歌順26番 第3席

岡本まさ子

ひろいものは
すてきな
ことば
胸の空き地に
植えてみよか

歌順27番 第4席

山碧木 星

土が
草が 木々が
情を深めてくる
まもなく
雨か

歌順28番

観月

SNSの情報も
良いけれど
でも
温もりのある
話も聞きたい

歌順29番

高原美智子

雨上がり
緑の葉っぱを伝って

一滴
地に帰る

題詠

歌順1番 第5席

かおる

首を
ふり続ける
張子の赤べこ
忍耐強く
YESを言い続ける

歌順2番

上田裕子

眠れない夜
カーテンを
引っ張って開けると
満月が周りを照らしていた
起きていて良かった

歌順3番

渡邉加代子

私頑張ったは
他の誰にも
通用しない
自分が自分に
言う言葉

歌順4番

水野ぷりん

知らんふりを
よそおって
張り込んでいる
気になるアイツの投稿
早よ、アップせんかい!

歌順5番

範子

頑張る!
頑張らない~~
頑張れないの
年を重ねると
言葉も変わる

歌順6番

いわきやすお

まあ 一杯
オトトト!零れるよ
だいじょうぶ
コップの上で
表面張力が働いているから

歌順7番

美樹

他人の緊張         *他人=ヒト
伝わって
肩はガチガチ
喉はカラカラ
…小心者です…

歌順8番

はるか

嫌われることが怖くて
へらへらと
生きて来た
ここらで我でも
張ってみようか

歌順9番

関口有美

飲めばむせ
食べればこぼす
お年頃
意地も張り通せず
すぐたたむ

歌順10番

今井幸男

常道から外れていても
足を引っ張りたくはない
新地開拓
をしようとしている人の
足先を見つめていたい

歌順11番

柳瀬丈子

鎮西呼子の大綱引き
女装した男達の熱気の中
ピンと張った太い綱は
陽光を浴びて
ビリビリと震えている  *鎮西呼子=ちんぜいよぶこ

歌順12番

萩原多恵子

靴下の
長さが気になる
男の子
引っ張り上げて
新人戦

歌順13番 第5席

赤井 登

突っ張りも
いいが
にょろりと
うっちゃり
捨てがたい

歌順14番

浜畑祐子

あの若冲の
あの鶏を     *鶏=とり
待ち受けに
張り付けて
しもうた

歌順15番 第1席

可不可

一升瓶から
注がれる地酒
おっととと
幸せの
表面張力

歌順16番 第3席

マリ子

突っ張って
突っ張って
あの頃
何を相手に
一人相撲

歌順17番 第2席

藍弥生

パンツのゴムも
人生も
張りすぎでも
ゆるすぎても
うまく歩けない

歌順18番

コバライチ*キコ

銀の糸張る
あの蜘蛛に
魅入られたら、堕ちるだけ
笑いながら
落ちてゆく

歌順19番

数かえる

厄除けだからと
強がるしかない
張子の虎が
災難を請け負って
ゴミ捨て場にいる卯年

歌順20番

田中きみ

頑張ったり
頑張らなかったり
気ままに
我がままに
ずるずる ぐだぐだ

歌順21番

吉野正則

ねこ背の
ツッパリあんちゃんが
こころ入れ替え
ガンバって
いまは胸を張る

歌順22番 第5席

酒井映子

そんなに緊張して
どうしたの
出張先で
誰に逢ったの と
訊いただけよ

歌順23番

大貫隆志

張り詰めた空
フローライト越しの
球状星団は
光の粒を
際立たせていた

歌順24番

気を張ろうと
張るまいと
時刻は宇宙の意志と
鳩時計
二声で告げ

歌順25番

町田道子

待ちわびた 結果
張り詰めた
空気が
一気に
ほどけてゆく

歌順26番

岡本まさ子

逃げ を
知った
こころは
もう
張ることはない

歌順27番 第4席

山碧木 星

弱虫は
苦虫
ここぞの時に
袖を
引っ張る

歌順28番

観月

無限に広がる
色彩の海は
心の中の
宇宙を
膨張させて行く

歌順29番

高原美智子

ふっと微笑んだ時
張り詰めたもの
緩んだ気がして
抱きしめたかった
父を亡くした友