2018-08-28 第233回参加歌

※コメントは会員の方のみ記載できます

自由詠

歌順1番

まど明かり

1.2キロの温かい命
膝から動かない
私も動けない
猫の時間に
今日も暮らす

歌順2番

渡邉加代子

ピンク 水色 黄緑
その次の
そこは黄色だろう
なぜ水色なのだ
向かいのペディキュア

歌順3番

コバライチ*キコ

なるほど
かたちのいい貝殻だ
ヤドカリの
家を選ぶ目は
確かなり

歌順4番 第1席

暑いですねと
話さなかった
人にも
云ってしまう
今年の夏

歌順5番

関口有美

空腹でなくても
口にすれば
美味しく食べ進む
と 喩える      *喩=たと
モテ男

歌順6番

田中きみ

多摩川を挟み
大田区六郷の花火
目の前に上がる
我家のベランダ
特等席

歌順7番

今井幸男

タガメに抱きつかれ
体液すべて吸いとられる
うッァ 快感
水草ゆれる
酷暑の夜の夢〜 夢

歌順8番

平井敬人

夏が終わるのを
寂しがって
保たれる
若さとか
青春とか

歌順9番

平澤 薫

限界に挑む超人
もっと 速く
もっと 高く
もっと 強く
何故 競い合う人類

歌順10番

酒井映子

何十個もの時計を
閉じ込めた部屋
時計は個々に
狂い
時間は無意味なものになる

歌順11番

鮫島

現実は
逃げられない
から
もう一つの世界で
遊ぶ

歌順12番 第3席

かおる

酔いながら
確かめ合う
気持ちに
また酔う
素敵な酔っぱらい

歌順13番

萩原多恵子

グラスに
かけた息
形となった
不安なきもち
消えた

歌順14番

観月

せめて
憎しみを
ください
「誰でも良かった」
じゃなくって

歌順15番 第3席

はなちゃん

バサッ
セミくん網戸にしがみつくが
三秒であえなく落下
来世は
ボルダリングに挑戦してみてね

歌順16番

大貫隆志

大切な人の
最後のかけらを
見逃さぬよう
手を振るエアポート
二度と会えないかのように

歌順17番

大島健志

独り占めはダメ
ふさぎこんだ
あの子も誘おう
居場所を
見つけたら

歌順18番 第2席

町田道子


振り回されるって
ことは そう
もう
恋ってことか

歌順19番

寒苦老

ふとしたこと
ていねいに
教えてくれた
あのひとの
笑顔が素敵

歌順20番

吉野正則

裸足でサンダル
ペタペタさせて
あちこちひやかしながら
歩き回る
仲見世通り

歌順21番

山碧木 星

アキニハ アカネ アキアカネ
スイッ スイッー
夏の陽をいっぱい浴びて
赤くなったら
里へ下りよう

歌順22番

三根政信

夏の思い出
いっぱいあったような
何もなかったような
駆け抜けたような
のんびりしてたような

歌順23番 第1席

範子

さっと
頬を撫でた風
秋の匂いが
したようで
大きく息を吸う

歌順24番

はるか

夏の終わりに
逝った人を
偲んで鳴くのか
ああ 蝉時雨
読経の声にも似て

歌順25番 第1席

藍弥生

実家の片付け
遺品の整理の
つもりなのに
自分の足跡
発見してる

歌順26番

赤井 登

身体が
ぴくぴくぴく
テレビでは
「ボーっと生きてんじゃねえよ」
俺 熱中症だって

歌順27番

大橋克明

物事の理由なんて
後付けが
一般的
早く言った者勝ちの
油断のならない世界

歌順28番

小杉淑子(欠)

庭に撒く水で
飛び跳ねはしゃぐ
ワンコが
ウラヤマシイ本日
猛暑日

歌順29番

岡本まさ子

手術後の
おならの ような
回復のきざし
私の
病中初ダジャレ

歌順30番

西部 稔

こんなきれいな
星月夜だもの
もう少し起きていたら
ピーターパンが
呼びに来るかも

歌順31番

高原伸夫

金足農業が
教えてくれた
高校野球の真髄
公立・地元生徒だけで
これだけ勝ち残れた

歌順32番

高原美智子

言葉の断片
メモされている
小さな手帳
忘れそうな
思い出が生きている

題詠 「含む」

歌順1番

まど明かり

おやっ
この風
すでに秋
匂いに含む
もの哀しさ

歌順2番

渡邉加代子

影を伝い
影から影へと飛び移り
細い影にも身を潜める
私を含んだ真っ黒な影
真夏の道を行く

歌順3番 第2席

コバライチ*キコ

賛成多数に
含まれている
どっちでもいい派
ゆるーく
世の中を生きてゆく派

歌順4番

今日は命日
たっぷり
汁を含ませた      *汁=つゆ
母の味の
豆を炊く

歌順5番

関口有美

こけた頬に
含み綿を入れると
微笑みの死に顔になった
母の
魂の顔だ

歌順6番

田中きみ

古里の酒
口に含めば
同じ地で育った
この体
喜ぶ

歌順7番

今井幸男

木戸銭払えば
不気味な含み笑いが
迎えてくれる
今宵はオールナイトの
鬼ヶ島 流刑

歌順8番 第1席

平井敬人

あなたに言いかけて
呑みこもうとして
つっかえて
含んだまんまで
そばにいる

歌順9番

平澤 薫

命を繋ぐ水
祈りを込めて
そっと口に含ませる
穏やかな 微笑
静かな 旅立

歌順10番

酒井映子

雷を含んだ
雲が
重い
ビールの泡も
力なく消える

歌順11番

鮫島

口に含むと
乳首は
甘い
けど
塞息しそう

歌順12番

かおる

嘘を
含んだ
ゴーヤの苦さ
あなたなんか
だいきらい

歌順13番

萩原多恵子

あら?
含みのあるお言葉

背中ごしに
そして肩をすぼめる

歌順14番

観月

ささやかな妄想
湿気を含み
孕んで
膨らむ
両の乳房

歌順15番

はなちゃん

キラリ
メガネの奥で
含み笑いが知的
ウム、マンガだけど
含蓄が深いのかもしれない

歌順16番

大貫隆志

恥じらいながら
ひと連なりの
葉を閉じて
眠りゆく
含羞草       *含羞草=おじぎそう

歌順17番

大島健志

もう必要ない
あらかじめ
カタストロフを
包含した
繁栄ならば

歌順18番

町田道子

人の心を
もてあそぶ
気を持たせる
含みある言葉には
つい おどらされてしまう

歌順19番

寒苦老

これからの
日々は
いつ消えてもいい
一日を
含む

歌順20番

吉野正則

この料金に
全部含まれてるの?
はいッ含まれています
消費税も込みです
じゃあお願いするわ

歌順21番

山碧木 星

含み笑いで
悦びを
隠した人よ
届けられたのは
な〜に

歌順22番

三根政信

この歌の原材料


希望
(少々嘘含む)

歌順23番

範子

笑うなら
含み笑いより
豪快に
笑おうよ
ハッ ハッ ハッと

歌順24番

はるか

なによ
その含み笑い
お互いの心を
探り 探り
ハイボール三杯目

歌順25番 第3席

藍弥生

含蓄のある
言葉より
失敗談の方が
心に残ったり
するんだよね

歌順26番

赤井 登

何よ
その
含み笑い
わたし 手も足も
出していませんわよ

歌順27番

大橋克明

酒を
口に含んだ途端
背中をど突かれて
思わず飲み込んだ
苦い酒

歌順28番

小杉淑子(欠)

信号の上に
18時の月
向かいの夕焼け
頬に含んで
ほんのり薄紅色

歌順29番

岡本まさ子

生き方を
教えられたのかも
母が
野菜を煮含める
その姿 その味

歌順30番

西部 稔

甘いものには
毒が含まれている
お菓子や料理以上に
甘い言葉には
猛毒が仕込まれているのだ

歌順31番

高原伸夫

赤ちゃんも含め
一人八百万円の
国民の借金を
みんなでフタしている
極楽トンボの夏

歌順32番

高原美智子

老人施設に
引っ越す隣人
楽しかった思い出
未来への不安
みんな涙に含まれる