2024-08-27 第305回参加歌
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自由詠
歌順1番 第4席
薄墨に
佛
くきやかに
揮毫して
逝く
歌順2番
出ていくと決めた
部屋のスミッコで
愛おしくなる
君の匂いが
綿埃と燻っている
歌順3番 第3席
名前を
呼び捨てで呼ぶ
距離の
取り方をする
男の訃報
歌順4番
選挙権もないのに
連日の
あの国 この国の
選挙に
参加している気分の私
歌順5番
ひぐらしが
鳴き声で
もの悲しく
逝いた夏を
追悼する
歌順6番
遠雷・・・
轟きながら迫ってくる
走る閃光
猛暑にあえぐ巷・・・だが
待つは慈雨、轟雨は御免
歌順7番
勝者の涙
敗者の涙
涙の味は違っても
人生を懸けた涙は
なんと尊く美しい
歌順8番 第2席
彼岸にいたのか
此岸にいたのか
よくわからない
夢をみる
猛暑の夜
歌順9番
暑い と
言って
ビールを飲んでは
昼寝する
そんな 私に誰がした
歌順10番
そのうちにねと
自分も使うけど
相手から言われると
つい期待して
待ってしまう
歌順11番
人生は
私が書く
たった一本の脚本
拍手一つでももらえれば
それで満足
歌順12番
負けて泣いてるキミ
悔しかったな
涙が乾いたら
キミが泣かせたライバルたちに
共感できるだろうか
歌順13番 第5席
まいにち
ほんのちっちゃい
ワクワクだけど
だいじにだいじに
したいね
歌順14番
人の出逢いって
夏の木洩れ日の
たまゆらのようで
永く留まってと
おもうだけ儚いない
歌順15番
指のリハビリ
コキコキピコピコ
人目気にせず
コキコキピコピコ
再起動、なるかな~
歌順16番 第1席
命って
生まれる時も
とじる時も
人の心を
ひとつにしてくれる
歌順17番
不器用な
男だからと
なしくずし
甘えてんだか
なめられてんだか
歌順18番
絹光りする
ボディスーツを纏い
わたし 樹液を
貪るクワガタムシ
になります
歌順19番
受話器はさんで
掛け合う
蝉時雨
おしゃべりも
しばし見得?見栄?
歌順20番
小さいからと
侮ってはいけない
カジカガエルの足は
思ったより
ずっと長い
歌順21番
想像もできない
いくつかの人生
不思議が詰まっていた
インド本をありがとう
いずれ そちらで
歌順22番
めっちゃ
明るい人より
ふっと
陰りのある人が
もてる
歌順23番
太くて濃い影が
地べたにくっきり
描かれて
陽は頭の真上
アッチェ~ッ
歌順24番
野草でも
群生すると
きれいだな と言う
たった 一本の
きれい を知らない
歌順25番 第4席
八ヶ岳の大空に
もう一つの
入道雲
立ち上げる
極上のソフトクリーム
歌順26番 第4席
紙の本を
読んで欲しい
想像力と思考力と
忍耐力とを
失わないように
歌順27番
骨上げしてきた *骨上げ=こつあげ
手と手
に 生ビールのジョッキ
酒好きだったね
精進落としの席
題詠
歌順1番
余白の中に
美のかたち
長谷川等伯「松林図屏風」
翳り
極まる
歌順2番 第4席
間近にせまる
別れの予感を
翳りゆく
君の横顔が
ふと醸しだす
歌順3番
翳りを
感じさせない
男の
本当の翳
思い馳せることも拒む
歌順4番
ふっと
翳りがみえた
二枚目
抜群の良い男
アランドロン逝く
歌順5番
メガネの縁を
変えたら
翳りが消えたみたい
へこんでいた気持ち
あしたは晴れにする
歌順6番 第3席
洗っても
こすっても
消えない
かげり
抱きしめていく
歌順7番
明るい人なのに
ふと見せる
翳りのある横顔
女心をくすぐる
絶妙な光と影
歌順8番
猛暑ながら
陰に支える
若者等居て
この国の倖せを
おもう
歌順9番
転ぶか
転ばないか
歩き方の陰り
段差が
足元見つめてる
歌順10番
私は気付いていた
貴方の表情が
一瞬陰ったのを
理由を聞けなくて
ただ切ない
歌順11番 第1席
ついと
翳りが走った
君の瞳
私 何を
言ったのだろう
歌順12番
憂いを秘めた笑顔
翳りを湛えた瞳
永らえないことを
-知っていたのか
ジェームスディーン
歌順13番
影踏みも木陰も
いいけど
「翳りゆく部屋」は
哀しさが漂うよね
ユーミン
歌順14番
翳りのある人生は
一瞬にして変わる
過去はマイナス
今ここから未来が
プラスと決める
歌順15番
翳りあるうちが華
最期は真っ暗闇
だから
今ある小さな光
大切にしようね
歌順16番
つくばいで
水浴びを楽しんでいた
かささぎ
陽が翳ってくると
家路につくようだ
歌順17番
ひかりとかげり
間で
揺れる
漆黒が
眩しい
歌順18番
経済失策で翳りゆく
巨大都市から逃げ出して来たのか
シェシェ シェシェ
クマゼミが
うるさすぎる夏
歌順19番 第4席
風鈴 ちりん
縁側出れば
君が来たような
葉蔭 くっきり
お盆です
歌順20番 第5席
一面の空の青
翳りなく
木漏れ日は
水底にとどく
静かなままに
歌順21番
陰りに惹かれて
闇を覗く
暗闇の中
光の方へと
逃げ帰る
歌順22番
裏街道
歩き続ける
翳りのある
人生に
惹かれる
歌順23番
曇天から
投げ下ろされる
鈍い光が
陰り行く部屋に
差し込む
歌順24番
一枚の
葉が
地面に
置く
かげり
歌順25番 第2席
見下ろせば
海は 空と溶けあい
垂直に立っていた
夏は まだ
翳りを見せていない
歌順26番
やわらかく翳ったか
と思えば
すぐに雷鳴・稲光
あとはお定まりの
記録的降雨
歌順27番
もの思わせる
人の後ろ姿と
夏の
陰りと