2020-11-24 第260回参加歌

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自由詠

歌順1番 第4席

ふっとはさまる
小春日和
幸せの温度は
これぐらいが
良い

歌順2番

ま のすけ

月の白さ
肌に冷たいね
遠くとおくとおく
届かぬものは
心に深く沈めて消して

歌順3番

渡邉加代子

祭りだった
クラス会だった
去年の今日は 去年はと
窓の外を眺めながら
新型コロナ初年は終わる

歌順4番 第4席

はるか

寝転ぶと
猫が破いた
障子の穴の
小さな空にも
いわし雲

歌順5番

大島健志

最終的には
ひとり残らず
俺を好きになる
今日のところは
大目に見とく

歌順6番

範子

犬種で誰か分かる
マスクだらけの
散歩道
マスク取ったら
どんな顔やろ

歌順7番 第1席

大貫隆志

眠っちゃ
いけない
埠頭のキリンは
月のない
夜に歩く

歌順8番

かおる

ここにしかない
あたたかな
たしかなものを
かんじるために
ぎゅってして

歌順9番

観月

コロナで逝くとは
こんな気持ちか?
付き添いもなく
ひとり向かう
手術室

歌順10番

山碧木 星

枯れて
冬がくる
あたりまえのこと
柿の葉の
寂しさと安らぎの混色

歌順11番 第5席

つねちゃん

住宅街を
巡回するバスの
中から眺める
小さな箱庭の
紅葉めぐり

歌順12番

コバライチ*キコ

紅葉の押し葉の
幽かな赤に
あの日
君が拾った
秋を思うよ

歌順13番

鮫島

狼のように 吼える
君を見ている
何しに
生まれてきたのか
忘れてしまった

歌順14番 第3席

藍弥生

幸か不幸か
裏切られるほどの
関係性を
築けていない
わたしたち

歌順15番

小杉淑子

二人並んで
スマホでマンガ見て
そんな休日
話もないけど
肩も凝らない

歌順16番

いわきやすお

11月の11は
田圃のしるし
負けずに稔った
稲の海原に
感謝を捧げる

歌順17番 第2席

町田道子

行きずりの
君だからこそ
話せることもある
夢ものがたり
聞かせたりとか

歌順18番

数かえる

欲情に
モラルを強いれば
今夜も
ありふれた
書き出しの物語

歌順19番

吉野正則

ためらえば
警笛
鳴るなり
合流時
入れると思ったのよ

歌順20番

史緒

たった一杯のお茶を
誰かと飲む
そんな些細なことが
大切な日常だと
思える午後

歌順21番

今井幸男

お前を
俺の想いで
串刺しにしたい
微かに疼く
若者魂

歌順22番

田中きみ

そばにいて下さい
あなたといると
生きている気がするの
と請う人も請われる人も  *請=こ
病持つ人

歌順23番

大橋克明(欠)

品性の
如何わしい奴ほど*いかがわしい
建前で
押してくる
自分はいつも安全地帯に居て

歌順24番

関口有美

年増すごとに
妻の手料理
ほめる弟
母のは
田舎料理だったとさ

歌順25番

青木栄子

色づく街に
強い風が吹いた
恋の予感は
微塵もなく
落ち葉と化した

歌順26番 第2席

柳瀬丈子

問いに 問いを
重ねて歩く
細い道
そこに また来て
坐っている

歌順27番

赤井 登

枯れ葉
道端に
まだ緑の草上に
又ね又ねと
風に舞う

歌順28番

寒苦老

忘れてしまいそうな
あの人との会話
ほんの少しの時間でも
幸せだったんだと…
見つめあって話したい

歌順29番

岡本まさ子

季節の
声がして
目をやれば
高い空に
憂い 帯びた雲

歌順30番 第2席

酒井映子

得体のしれない人は
大きな河
どっちに
流れているのかも
わからない

歌順31番

高原伸夫(欠)

中村哲さんの
志を継ぐように
自由詩歌の
運河を造り続ける
周辺の人たちのために

題詠 「そこに」

歌順1番

熟さぬ子等も
忘れんぼの夫も
そこに
いるだけで
小春日和

歌順2番

ま のすけ

そこに
愛はあるか
感謝はあるか
夢はあるか
明日を紡ぐものたちよ

歌順3番 第4席

渡邉加代子

そこには誰かの新築住宅
父母が暮らした月日など
この大地には
記憶にも残らぬ
些細な時間

歌順4番

はるか

確かそこに置いたはず
あっちの棚
こっちの引き出し
老眼鏡 頭にかけて
探してる

歌順5番

大島健志

大丈夫
どんなに
暗い場所だって
迎えに行くから
今そこにいて

歌順6番

範子

そこにあるのに
ない ないと
探し続け
ここにあるやん アホ
と 悔しがる

歌順7番 第5席

大貫隆志

みなそこに
ふりつもる
マリンスノー
そらいろの
ゆめをみる

歌順8番 第5席

かおる

咲いたのは花
瞬いたのは星
笑ったのは君
そこに
光が宿る

歌順9番

観月

信長の肖像画の
実物を見て
一瞬そこに
戦国の世も
観えた気がした

歌順10番

山碧木 星

想い出にして
風が連れてゆく
十一月
交差点
そこに いた人

歌順11番

つねちゃん

友が届けてくれる
手打ちそば
里山の味覚と秋が
そこに練り込まれ
口元がゆるむ

歌順12番

コバライチ*キコ

赤いカイト
遠く
遠くへ伸びていく
そこに
もう同じ風は吹かな

歌順13番

鮫島

五蘊盛苦
そこに 生きる限り
湧き上がるエネルギー
私に残されているのは
あといかほどか

歌順14番

藍弥生

そこに
居てほしい人が
いなくって
人生なんて
そんなもん

歌順15番

小杉淑子

考えごとは
そこに置いて
とりあえず カンパイ!
美味しいなら
それでオッケー!

歌順16番

いわきやすお

子どもたちも独立し
二人だけの夕食
食卓には夫婦茶碗
月日を重ねても愛が
そこにとどまる

歌順17番

町田道子

君と初めて
行った 映画館
もう そこに は ない
囲われた工事現場に
ただ 風が吹きつけている

歌順18番

数かえる

無邪気に
優しく笑うけど
そこに
隠してるよね
溢れそうな涙を

歌順19番

吉野正則

恋人たちは
将来の事ばかり
楽しそうに話す
殆どがそこに
辿り着く事はないのに

歌順20番

史緒

すき焼き
すき焼き
楽しいな
みんなの笑顔が
そこにある

歌順21番

今井幸男

そこに あるじゃない
と言ってくれる人がいなければ
もっと長編のミステリーになってる
消えた
鍵 財布 メガネ 携帯

歌順22番

田中きみ

先立った連れ合いが
そこにいるように
語り合いながら
暮らしている
おひとり様たち

歌順23番

大橋克明

意気揚々と
余所見しながらの阿保面
そこにほら
自分で掘った
深い穴ぼこ

歌順24番

関口有美

味は
みじみ
見かけは
少し 崩し加減
そこに惹かれる

歌順25番 第1席

青木栄子

そこにそこだけに
拘る君と
そこそこなんでも
許す僕は
ちょうどいいんだ

歌順26番 第3席

柳瀬丈子

漂いながら     *漂=ただよ
そこに着床する
と 決めた
マングローブの
樹根のセンサー

歌順27番

赤井 登

富士樹海ハイキング
ハーイ並んで
写真撮りまーす
さっきそこに居た人
何処に行きました

歌順28番

寒苦老

ここにある
ちいさな
しあわせ
とどけたい
そこに

歌順29番

岡本まさ子

決心
として
そこに
在る
中天の月

歌順30番 第2席

酒井映子

些細なことだけど と
歪んだ笑顔で
君は訴える
そこに在る
深淵

歌順31番

高原伸夫(欠)

拉致された娘を思い
忘れ形見に
会おうとしない母親
そこに流れる
不毛の歳月