2025-04-22 第313回参加歌
※コメントは会員の方のみ記載できます
自由詠
歌順1番 第4席
産道を通るのも
三途の川を渡るのも
命懸け
どっちの世界も
簡単には入れてくれない
歌順2番
古い
一枚の
家族写真が
人生を
肯定させてゆく
歌順3番
四万十川
沈下橋
なぜ 沈下、、
と 考えてると
落ちそう
歌順4番
出土した縄文の
遮光器土偶
21世紀のロボットと
にらめっこ
まばたきしたら負けよ
歌順5番 第1席
モウソウは
殻をやぶって
ずんずん のびて
やがて
くえない奴になる
歌順6番 第3席
すごいね は
賞賛だけでなく
嫉妬や非難や嫌悪も
内包するらしい
すごいね
歌順7番
弾んで出かけ
見知らぬ人とも
花を褒め
そう!
だから春が好き
歌順8番
ワンワンワンワン
吠えてるけど
嬉しいんでしょ
そんなに尻尾振って!
…ちょっと羨ましい
歌順9番
何やってんの!
トランプの
思惑なんぞ知らん顔
ポトマックの桜
揺らぎなく咲く
歌順10番
右に行く道と
左に行く道とで
景色が違うように
私のあゆみも
違っていたのか
歌順11番
あっ、どこから?
この歌
なつかしさは
せつなさと
ともに
歌順12番 第2席
母親譲りの
薄情者
これが 時には
生きるを
楽にする
歌順13番
これでもかと
満開の桜
なのに
空気は冷たく
肌を刺す
歌順14番
一歩 一歩
明日への
力を
蓄えていく
夜の帰路は独りに限る
歌順15番 第4席
あの時ほんとうは
どうだったのだろうなどと
答えのないことを
ふと考える
ゆるやかな時間
歌順16番
年中怒って
年中悲しい
思った言葉を出せばいい
やがてそれが
歌の骨格をつくる
歌順17番
俯くな、 *俯=うつむ
大樹 巨樹は
思いきり
顔を
上向かせる
歌順18番 第4席
恋には
入り口も
出口も
あるけど
愛にはない
歌順19番 第5席
空き家の庭で
見事に咲いて散った
ポツンと一本の桜
家を守っているよ
誇らしげに
歌順20番
帽子は
かたちがいのち
しなやかな
フォルムが
はるかぜに寄り添う
歌順21番
しっとり はいい
びっしょり もいい
でも、じめじめ は大嫌い
サンショウウオと
血族の私でも
歌順22番
先駆けて
ビオラ満開
無数の耳となって
地に届けるよ
天の春の号令
題詠
歌順1番 第1席
引き出しの中で
思い出と一緒に
ぐっすり眠ってる
ガラクタ達
起こさないでおこう
歌順2番
行く手を
示しているのか
遮っているのか
犀の角
歩む先に 出口はあるか
歌順3番
出雲に行って
記憶にあるのは
出雲そば
太い注連縄
神無月
歌順4番
出来のいい長兄に
親の期待は任せて *任=まか
三男坊の君は
伸び伸びと
我が途を貫いたね
歌順5番
舞台袖で
出番待ち
ウイスキー
一杯
ひっかけて
歌順6番
ロクでもない
ヒビの中で
ワルくない
ヒトと出会うのは
ワルくない
歌順7番
かつ節の陰に
しっかり裏打ちされた
出し昆布の味
そして春を賞でる
幸せの在り
歌順8番
出発進行!
行先に指をさす
車掌さん
ああしたいけど
行先がわからない
歌順9番
大谷が
試合に出ない
産休だって
いいねえ
日本じゃ出来ないこと
歌順10番 第3席
君の
出していた
信号に
気付けなかったことの
後悔
歌順11番
埋めることの
できない想いを
抱え
ここから
出て行こう
歌順12番 第4席
親だけではない
出会った人達に
育てられて
今を楽しんでいる
出合いに感謝
歌順13番
請求書より
領収書の生き方が
好き
求めるより
出す方が先
歌順14番 第5席
歯を治し
眼を治し
足腰をポンと叩いて
人生
再出発だ
歌順15番 第3席
今でも
こっそり顔を出す
もう意味のない
プライド
早く捨てたいのだが
歌順16番
出涸らしにこそ
価値があるんだ
芯は
最後まで
なくならない
歌順17番
聞かされてきた
戦争体験を
想い出しては
乗り越えてきたことの
多さよ
歌順18番 第2席
入口は
すぐわかるのに
出口って
探さないと
見つからない
歌順19番
石垣の隙間から
顔を出す小さな花たち
雑草たちの逞しさを
可憐に演出しながら…
ガンバレと声をかける
歌順20番
押し出され
降りたホームで
脱げたヒールを
さがして泣いた
国鉄時代のラッシュアワー
歌順21番
他者の意見をもらうばかり
でいいのかな
少数意見でも出せば
誰かの
役に立つも知れないのに
歌順22番
枯れかけた花を
花で迎えてくれる
出口はどこか?
ラスト冒険物語
続く